
STUDENTS:持田 宏平
Name of United Graduate School of Agricultural Sciences:Tottori University
Assigned university:Shimane University
Course: Bioproduction and Bioenvironmental Sciences
Division: Agricultural Production Science
Research theme:
スマート農業技術を活用した農業生産・農業流通
Obtained (planned) degree/date:博士(農学) 2025年3月 取得予定
Message
2004年に島根大学大学院生物資源科学研究科を修了後,IT企業である株式会社セラクに就職し,技術者としてITシステムの設計,開発,運用に従事してきました.お客様からのご依頼に応じたシステムの構築のほか,2007年からは新技術を活用したサービス開発に着手し,スマートフォンアプリや,IoTを活用した自社プロダクトの開発を行ってきました.こうした取り組みの結果,AppStoreのダウンロードランキングで1位を獲得したゲームアプリ「天ぷら侍」や,国内外から注目を受けたIoT鏡型情報端末「スマート洗面台」,小型のIoT植物工場の「スマート野菜工場」などを生み出しています.
2014年からはこうした技術を農業の課題解決に利用できないだろうかと考え,「スマート野菜工場」をベースとした環境モニタリング技術の開発をテーマに大阪府立大学と共同研究を行い,その成果によって,「みどりクラウド」という製品・サービスを開発,現在,全国の農業者の方に利用いただいています.
みどりクラウドは,圃場内の環境を計測することで栽培現場をデータ化し,そのデータをクラウド上に蓄積,生産者は自身のスマートフォンにインストールしたアプリを通じて,データの可視化や分析を行うことができるサービスです.また,アプリから,栽培現場に導入されている機器の動作を制御することが可能です.今後,気候変動により農業生産の再現性が低下することが予想されている中で,こうしたデータを活用した農業は安定した食料供給の実現に向けて重要であると考えられますが,スマート農業技術はそれほど栽培の現場に普及していないのが現状です.それは,スマート農業技術が栽培に対してどのような貢献ができるのか,十分な費用対効果が得られるのかが不透明であるのが一因であると考えています.こうしたことから,スマート農業技術が農業生産にどのような変化をもたらすのか,また,経済合理性があるのかを分析することで,そのメリットを明らかにする研究を行っています.
一方,いかに効率的に生産ができたとしても,その作物が価値に応じた適切な価格で流通することが,農業経営の安定化には不可欠です.ところが,多くの青果は時価で取引されるため,価格の振れ幅が大きく,場合によっては原価を下回った価格での取引となってしまう場合もあります.こうした中で,データを活用することで流通の合理化を進め,安定した持続可能な農業経営の実現を目指した研究も行っています. 学位取得後も,現在所属している企業において,スマート農業事業に従事する予定です